- 業界
- コンタクトセンター
- 職種
- 戦略・事業企画
- 予測テーマ
- 入電予測
- 従業員規模
- 1,001名以上
ベネッセコーポレーションのグループ会社として誕生し、現在はSECOMグループの企業として幅広いBPOサービスを提供している株式会社TMJ。
従来の勘と経験をもとに行ってきた入電数の予測をPrediction Oneで行うことにより工数削減と精度向上につなげられています。今回は、事業統括本部Benesse事業企画部で通信教育事業のお客様問い合わせ窓口(コンタクトセンター)の業務運営を行う松本様、中村様に伺いました。
私が所属している部署はBenesse事業企画部という部署でして、ベネッセコーポレーション様の通信事業に関する顧客問い合わせ窓口の設計や運営を行っています。
Prediction Oneでは、毎日の入電数を予測しています。コールセンターは通常、予測入電数に応じてオペレーターの配置数が決まりますので、入電予測値はコスト計算の基となるかなり重要度の高い要素となります。
Prediction One導入以前は、前年実績と経験に基づき「住所変更」「解約」など電話の要件ごとにExcelを使って予測していました。
ゼミ(講座)ごとに予測を行っていたのですが、まず前年実績と今年のイベントスケジュールを見比べながら電話要件ごとに入電数を予測したのち、すべての要件を合算して最終的な入電予測値を出すといった工程を行っており、1ゼミあたり月160~180時間程度の工数がかかっていました。ゼミごとに予測担当者を立てていますが、担当者は1カ月まるまる予測の仕事をしているような状態になっていましたね。
はい、ベネッセコーポレーション様からPrediction Oneの紹介を受けました。ベネッセコーポレーション様でも工数の削減と予測精度向上に課題感を持っており、その2つの課題を解決できる可能性のあるソフトとしてPredictionOneをご紹介いただきました。
トライアルを経て運用できる感触を得たのち、工数削減と予測精度の向上の両面を目指し、導入を決断しました。
会社初のAI導入でしたので、導入当初はどれくらいの精度になるのか、人が行った予測と同程度の予測を出してくれるのかなど、社内も疑心暗鬼の部分はありました。
特に、Prediction Oneは操作がシンプルで簡単に予測結果も算出できる分、逆に簡単すぎて怪しいというか「本当に精度が高い予測ができるのか?」と疑ってしまう部分もあったように思います。
ですが、数カ月間にわたって説明変数(※)の最適化を繰り返した結果、従来よりも高い予測精度を出すことができ、社内のメンバーもAIの実力を認めてくれるようになりましたね。
※予測したい項目(目的変数)に対し根拠となりうる項目のこと。
おかげさまで予測にかかる工数はかなり減りました。
一度納得のいく予測モデルを作ってしまえば、次からはデータさえ準備すれば簡単に予測を行えるので、工数が減り予測業務が楽になったと思います。
また、Prediction Oneでは従来のように電話要件ごとに細かく予測を立てず、いきなり総入電数を予測しても高い精度が出たという点も工数削減に貢献していますね。
まだすべてのプロセスをAI化したわけではありませんが、昨対比で15%ほどは工数削減できています。
Prediction Oneの導入にあたって、複数月に渡り次の2つの切り口で精度を比較しました。
といった切り口です。
比較した結果、①は6:4の割合でPrediction Oneの予測精度が高い結果に、②は従来手法が25.1%だったのに対しPrediction Oneは29.8%と1.2倍高い結果となりました。
工数を削減できただけでなく、予測精度も高めることができて、非常に良い導入結果になったのではないかと思います。
図1
図2
これまでExcelで蓄積してきた各種データを活用しています。日付や前年実績、応答率、解約締切日、前年伸長率、解約構成比などです。毎月の解約の締め切り日など、入電増が予想されるイベントにはフラグを立てて、Prediction Oneが読み込めるようにしています。
図3
予測精度を上げるためにはやはり説明変数が大事かと思いますので、いろいろと試行錯誤しながら入れたり外したりしています。
例えば、これまでの実績から、土日は入電が少なく、週明けの月曜日に少し増えるといった曜日による入電数の傾向がわかっていますので、当年の曜日の他に「前年度の曜日」を入れるなど、曜日に応じた実績値の入れ方は工夫しました。当社が行っている工夫は例えば以下のようなものです。
① イベント曜日別入電傾向の学習
同一のイベントであっても何曜日に行ったかによって、イベント発生週の入電件数の傾向が変わる。
「過去の曜日別イベント入電実績データ」を学習させ、曜日とイベントの複合的な傾向の再現に成功。
② 過去最大入電数・過去最少入電数の学習
イベント発生週の入電実績の最大値・最小値を学習させた。これにより予測値の精度向上が実現。
上記の工夫は、両方ともPrediction Oneの「データ結合機能」を活用して行っています。「データ結合機能」は複数ファイルに分かれたデータをそれぞれ読み込ませることで、Prediction Oneが内部で結合してくれる機能ですが、私たちの手元でデータをまとめる必要がなく助かっています。
イベントがない日や曜日別の傾向が無い日は、特にデータを保持していないため空欄にしています。
例でいうと、4/1~4/6は曜日別入電傾向がありますが、4/7以降は傾向がなかったため別ファイルにはカラムがなかった状態です。各ファイルの日付が完全に一致していなくても、特定の期間のデータをピンポイントで結合できる点、データに空欄があっても学習/予測ができる点は、Prediction Oneの非常に使いやすいところです。
図4
より精度を高めるためのモデルのブラッシュアップや、企画業務に時間を割けるようになりました。
また、これまでは単月ごとの予測しかできていませんでしたが、少し中長期的な視点で精度向上を考えられるようにもなっています。
入電数の予測結果には満足しています。社内での取り組み事例発表としてPrediction Oneに関するプレゼンを行ったり、他のクライアントの入電予測のご相談も別途させていただいたりと、横展開も進んでいます。
工数削減や予測精度の向上といった効果に加え、担当者ごとに起こっていた予測精度のバラつきをPrediction Oneによって均一化することができたのも大きな効果だと思います。
人の経験に基づく予測ではやはり業務歴の長短によって精度が左右されてしまいますが、AIに置き換えることで属人化が解消されました。
コスト削減は、コストセンターと言われがちなコールセンターにとって永遠の課題です。その中で、AIを使い工数削減ができてExcel以上の精度で予測が出せるという事実は、当社のプレゼンス向上にもつながるのではないかと思いますし、それはコールセンター以外の業界にも同じことが言えるのではないでしょうか。
当社も、今後は退会阻止やDMデータの活用など入電予測以外への活用も視野に入れ、さらなる工数削減、ひいてはクライアント様へのさらなる事業貢献を目指していければと思います。