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「分析」はAIで、「決定」
「深堀り」は私たちで
~付加価値を追求する品質保証部の組織づくりとは~
企業Profile

住友重機械イオンテクノロジー株式会社
設 立:1983年4月
従業員数:513名
事業内容:イオン注入装置の開発、製造、販売

導入前の課題
① 分析業務の属人化
② 付加価値業務に集中できる環境づくり導入のポイント
人と同程度の予測精度・スタンドアロンでも運用が可能
導入効果
① これまで予測を行っていた時間をAIが代替したことで、課題を深堀りする時間が増加
② ヒューマン・イン・ザ・ループの考えに基づいた意思決定ができるようになった
メンバーの付加価値業務に集中できる環境づくりのために、Prediction Oneを導入いただきました。活用に至るまでの背景やその効果について、同社品質保証部の川口様、福元様に伺いました。
データ分析のサポート役として、初のAI活用
まずはじめに川口様、福元様の業務について教えてください。
弊社が販売するイオン注入装置を安心してお使いただくための品質保証を行っております。
ISO9001という規格に基づいてQMS(品質マネジメントシステム)の管理を行い、製品の品質維持を担当しています。

▲イオン注入装置
Prediction Oneを利用する前はAIに対してどのようなお考えをお持ちでしたか?
正直にお話しすると、私たちの業務でAIを活用するのは難しいのではと考えていました。
品質保証・管理の部門では、様々なデータに基づいて正確な判断を求められます。そのため、AIの結果というのは「推定」のものでしかなく必ずしも正確であると言い切れない部分があり、業務での活用は想定していませんでした。
一方で、弊社は最先端の技術力の積み重ねをして製品を製造・販売する仕事なので、社員はAIのような新技術に対してハードルを感じることも少ないのではと導入前は考えていました。

AIでどんな課題を解決しようとお考えでしたか?
AI導入を検討していた当初はDX文脈で「メンバーの付加価値業務に集中できる環境づくり」をテーマとしてAIを探していました。
私たちのチームは、分析結果から対策を立てたりアクションに移したりするためのデータ分析が主な業務です。データ分析は付加価値業務の1つと捉えていますが、データ分析を行うためのデータの加工は付加価値業務ではなく「作業」と考えていたので、データ加工作業を代替できそうなAIを探していました。
また、データの加工には長年経験を積んだベテランの示唆も重要になってくるので、簡単にAIに代替することも難しいと頭を抱えていました。
AIはどのような役割として活躍していますか?
現在は、チームで行っているデータ分析のサポーターのような形でPrediction Oneを活用しています。当初考えていた「データ加工の代替」という活用方法から根本的な「分析業務の代替」をPrediction Oneで行うことになりました。
というのも、以前キャンペーンとして配布されていた無料体験トライアルを利用させていただいた際に、試しに弊社のデータを投入して予測分析を行い、社員が算出した予測結果とPrediction Oneの結果を比較してみたところ、結果の差異がほとんどなく精度の高いモデルができたからです。幸いにもデータはすでに収集していたので、スムーズに予測分析を行うことができました。
そのため、データの前処理としてだけAIを使うのではなく、データ分析のサポート役としてPrediction Oneの導入を決めました。
根本的な分析業務の代替に取り組む
どのようなテーマで予測分析を行っていますか?
弊社が販売しているイオン注入装置で過去に発生した事象データをもとに、現在発生している事象は将来解決が難しくなるのかどうかについての予測をPrediction Oneで行っています。多値分類で予測を行っており、精度についても業務で活用できる程度まで高められているので非常に満足して利用しています。
これまではベテラン社員がデータに属性を追加し、Excelを用いて分析を行い、出てきた結果に対してチームで対策案を考えるという業務フローを組んでいましたが、分析に時間がかかってしまいタイムリーに情報を得ることが難しい状況でした。しかし、Prediction Oneは予測結果を算出するまでほとんど時間がかからず示唆出しまでの時間を大きく削減してくれます。AIはデータ量に関わらずスピーディーな分析ができるので、大変助かっています。
現在は、Prediction Oneでの予測結果に対してチームで深掘りを行い、最終決定のフェーズは人間が担当しています。データ分析にかけていた時間をチームでの深堀りの時間に充てることができるようになり、課題解決に向けた前向きな検討をスピーディーに進めることができています。
全てをAIに代替させるのではなく、AIの手助けを借りるという業務フローを組むことで、結果的に業務効率化という側面からDXできているのではと感じています。

予測結果を業務に落とし込み、業務フローを確立できた要因はどんなところにあるとお考えでしょうか?
Prediction Oneで出てきた結果が、人間が出した予測結果と感覚的にずれていなかったのが一番の要因ではないかなと思っています。
チームメンバーも自分たちの考えとの差異がなかったため、AI活用に対してネガティブな意見は特にありませんでした。また、意識していたわけではありませんが「ヒューマン・イン・ザ・ループ」の考え方に基づいて、分析業務ができていたのではないかと思います。

▲ヒューマン・イン・ザ・ループ
人間がループ(システム)の中に組み込まれているという考え方。
人間との相互作用が含まれることを指し、機械が苦手な部分(意思決定や判断、制御など)を人間が補うことで、システムが成り立つことを表す。
また、数値予測よりも精度が出やすい多値分類という手法で分析を行ったのも精度が高いモデルづくりの秘訣なのかもしれません。複雑なモデルではなく列を10列以下にするなどして、なるべく簡単に精度の高いモデルはどうしたら作れるのかなど、日々トライアンドエラーを続けています。今後も更に精度を上げていく必要があると考えています。
現在はモデル精度を維持するため、年1回程度定期的にデータを追加してメンテナンスを行うことで精度安定に努めています。
私たちは大切なお客様の情報を扱っているため、秘匿性を持って扱うことが非常に重要となります。
そのため、クラウドでのツール利用ではなく、スタンドアロンで運用できるデスクトップ版がある点は非常に助かっています。
短時間かつ定量的な分析で、業務効率化を推進
これからPrediction Oneを利用しようと考えている方に向けて、一言いただけますでしょうか?
Prediction Oneは非常に使いやすいツールです。
他のツールだとどの要素が結果に寄与しているのか分からないものもある中で、Prediction Oneはどの変数がどのくらい効いているのか定量的にわかる部分が、チームでディスカッションを行う際にも有効です。
また、分析業務以外にも様々な業務がある中で、分析結果を出すまでに時間がかからないというのも魅力のひとつです。
ぜひ多くの方に使っていただき、業務効率化を進めていただきたいと考えています。
