- 業界
- 金融・不動産
- 職種
- DX
- 予測テーマ
- 教育・研修
- 従業員規模
- 1,001名以上
大阪や兵庫を中心に1951年から長らく地域経済の活性化に取り組み続けている池田泉州ホールディングス。同行は、池田泉州ホールディングスの中核を担う金融機関として、地域に根差したサービスを提供しています。
今回は池田泉州ホールディングのデジタル戦略部に所属し、業務効率化やそれに伴うツール導入などをご担当されている宮崎様・高見様にお話しを伺いました。
寄り添った提案ができる銀行を目指しています。また、これまで以上にお客様がご納得いただけるような提案を続けていくために、データの活用にも非常に力を入れています。経験だけではなく、データドリブンな提案をしていくことでお客様自身も気づけなかったインサイトを導き出し、最適な金融プランの実現をサポートしています。
高見様:私たちデジタル戦略部はデジタルトランスフォーメーションを進めていく中で、行員がより業務をスムーズに進められるようなシステムの導入やその整備、利用を推進するための活動を幅広く行っています。特にこれまで各所に点在していたデータ基盤の統合に注力しており、データドリブンな提案活動の支えとなるような基盤の整備を進めています。
宮崎様:Prediction Oneを活用したAI人材育成研修※のほかに、 営業担当者や窓口業務担当者など、幅広い業務を担当する行員を対象に、ITリテラシーを向上させるための研修を行っています。“デジタルトランスフォーメーションとは?”といった初歩的な座学から、得た知識をもとに「我々の銀行ではどの技術を使ってどんなことをすれば業務改善につながるのか?」といったテーマでワークショップを開催するなど、自分事として取り組んでもらえるような研修を行っています。
DX・AI人材の育成はデジタル戦略部を中心に研修の企画を行っていますが、人事部や各営業所営業店とも連携し横断的なプロジェクトに取り組んでいます。
また、IT人材の育成に取り組んでいる一方で私たちは“銀行員である”といったことが前提にありますから、ITに特化した専門人材を目指すのではなく、各々の業務を熟知した行員が、自身の業務をベースにITの専門家と同等のレベルで会話できる人材になってもらうためにはどうしたらいいかといったことをテーマに活動を行っています。
宮崎様:現場の行員の方が、自分たちの業務の効率化のために手元でモデルを作りながら、改善のためのPDCAを回せるようなツールを使った研修を提供したかったというのが背景です。現場の行員が自らモデルを作成し、その結果を業務改善のために活用できる、またPDCAサイクルを確立できるようなツールを利用した研修を提供したいと考えました。また自身で作ったAIをもとに得られた結果は納得できるものなのかを考えていただきながら、「AIとはどういったものか」を体系的に学んでほしいという思いがありました。
その中でPrediction Oneはクリック、ドラッグアンドドロップといった簡単な操作でモデルの構築ができる点、サポートが充実しているといった点から、初学者でもステップバイステップで予測分析ひいてはAIを学べるのではないかと考え、選定させていただきました。
実際にPrediction Oneの使い方、AIの実装法だけを学ぶのではなく、画像認識AIや生成AIなどと比較し、予測分析AIの特徴や長所など、他のAIとの役割の違いなどを研修のひとつとして取り込んでいただいたことで、要素技術の理解に加えてその技術は自身の業務でどのように使えるのかといったことを理解いただけたのではないかと思っています。
▲宮崎様
▲高見様
宮崎様:研修自体は2023年、2024年と2年に渡り行いました。その中で今回は2024年に開催した研修についてお話しさせていただければと思います。
まず、研修の目的やゴールをチーム内で明確にした上で「Prediction One」の担当営業の方と具体的な内容について協議しました。そうすることで当行の課題に即した研修が実現できたのではないかと考えています。
詳細な研修内容については以下になります。
【目的】AI・データサイエンスのリテラシー習得
【目的】Prediction Oneの操作方法・ユースケースの理解
【目的】実業務の課題やDXアイディアのリストアップ
高見様:様々アジェンダを用意していただいた中でPrediction Oneを使った分析体験として、「大阪の桜の開花日予測」をテーマに講義をしていただいたのが印象的でした。当行では申し込み者が大阪府の桜の開花日を予想し、当たると定期預金に特別金利を一定期間適用するといった「花咲か定期」という期間限定の商品を販売しておりました。
商品の特性でもある開花日の予測という身近なテーマを取り上げていただいたことで学びへのハードルが下がり、理解が促進されたのではないかと感じています。また、ただ開花日を予測するだけではなく算出した結果をどう見るか、精度を上げるために対応すべきことは何かなど細かくご説明いただき、「予測分析」を体系的に学ぶことができました。
▲参加者アンケートの回答
高見様:まずは研修に対して多くの行員が満足感を得たという回答で、ほっとしております。行員は普段からExcelなどを活用しているため、データ活用に関するリテラシーは比較的高いと想定し研修を設計しました。実際のアンケートでは、多くの参加者が「難易度はちょうどよかった」と回答しており、想定していたレベル感とマッチしていたという結果になりました。
加えて下記のようなコメントをいただきました。
・研修を通して、現在テスト利用している他のAIについても積極的に使っていきたいと感じた。
・AIを使ってのデータ利活用のイメージを掴むことができました。
私としても実際に普段からデータ活用をされているデータサイエンティストの方の講義を聞くことができ、「どんなところでつまずきやすいのか」といったポイントを知ることができ非常に満足感がありました。
宮崎様:研修後に学んだことを実際の業務へどのように落とし込むかについて、企画した私たちも参加者も難しさを感じています。実際に受講者からは「AIを活用するとよりデータドリブンな課題解決ができるとわかったが、それを業務適用するまでには時間がかかる」といったコメントがありました。日々の業務に加えてAIの業務利用を推進していくことは並大抵のことではありません。そのため私たちのようなデジタル戦略部門が各部門の行員と手を取り合い、課題解決に向けて取り組みを進めていかなければいけないと研修を通して改めて感じました。一方で、今回のような研修がなければAIについて理解し、活用を検討するきっかけはなかったでしょうから、非常にいい機会となりました。
高見様:行員自身が課題解決に必要な技術ないしはツールは何かといったことを把握し、使いこなせるような人を増やしていきたいと考えています。現場が本当に“使える”ツールが最適だと考えているので、それは何か、どうやって使うとより効果を発揮するかなど私たちもサポートしていきたいと考えています。
またツールを導入したからといって課題が解決するとは思っていないので、長期的な視点で仕組みの改善についても取り組んでいきたいと思っています。
高見様:AI活用・DX推進を進める中でつまずいてしまった場合に、利用したツール・システムが違ったのか、それともアプローチ方法がよくなかったのかなどどのような要素が結果に影響を与えているのか多角的に考えることが重要だと思っています。当たり前のことかもしれませんが、「改善は一筋縄ではいかない」と考えることが大切です。
またトップダウンでツールの導入やシステム刷新を行うのではなく、現場の感覚を知って、現場の声を聞くことが、うまくいく秘訣ではないかと思っています。