脳波データの活用をより身近に。Auto MLツールを活用した行動予測に挑戦
企業Profile

PGV株式会社
設 立:2016年9月16日
従業員数:17名
事業内容:大阪大学産業科学研究所関谷毅教授の研究成果を実用化する目的で、大阪大学発のスタートアップ企業として2016年9月に設立されました。パッチ式脳波計の提供により極めて微弱な生体信号である脳波を正確かつ簡易に計測することを実現するとともに、AIを活用した脳波データの解析サービスの商用化に取り組んでいます。

導入前の課題
① お客様自身でAIを作成したいというニーズがあった
② AIの知見がなくても簡単に使えるAutoMLツールを探していた導入のポイント
① 国内産でサポートが日本語であること
② デスクトップ版を提供していること導入効果
① AUC※1で80%近くの精度
② 感情予測や行動予測等のテーブルデータで結果が得られた
AI初心者の方でも簡単に扱えるツールを探していた
Prediction Oneのご導入の経緯について教えてください。
弊社は脳波の計測をするための脳波計を開発していて、同時に計測データからAIにも活用可能な特徴量を抽出する技術を開発しています。脳波の特徴量をお客様へ提供したり、実際に完成したAIモデルによる推論結果をレポートとして提供しております。お客様によって、計測データからご自身でAIを作りたいという声もあり、AIの知見の無い方でも扱えるAutoML※2ツールを探していました。
さまざま情報収集を行うなかで、国内産であることやサポートが日本語、デスクトップ版の提供があることを理由にPrediction Oneを選定しました。
脳波データを使い行動予測に取り組む
どのようなテーマで脳波を使い分析されているのでしょうか?
残念ながら共有可能な事例はありませんが、おもに行動予測を想定しています。脳波に紐づいた人間の行動をアノテーションし、Prediction Oneで多値分類や二値分類で予測することを想定しています。実験的に、音楽を聞いているときの脳波を解析してみました。
実験では、リラックスする音楽か悲しい音楽のどちらを聞いているかを目的変数として、説明変数は脳波の信号から抽出した特徴量、具体的には脳波の波形データからノイズを除去し、周波数変換等処理したテーブルデータを利用しています。Prediction Oneでは二値分類を行いどちらの音楽を聞いている脳波か精度高く分類できています。
精度はどれぐらい出ていますでしょうか?
AUC※1で80%近くの精度が出ています。感情予測や行動予測等のテーブルデータで結果が得られたため、今後も活用できるのではと考えています。
また、高い寄与度として、項目として効いていたのは、γ波でした。γ波は、脳の活性度に関係がある脳波のパターンの一つになります。脳が活発であれば高周波帯域のγ波が上がります。感情だけでなく、集中したときや、怒った時、楽しい時にも脳が活発になるのでγ波が上がります。

チャンネル7のγ波が効いていることが分かります。

Accuracy※3も高く、Recall※4に至っては95%以上の精度が出ています。

混同行列もバランスよく出ていました。
精度向上のためにデータを前処理するといった試行錯誤は行いましたか?
弊社で提供しているデータを特徴量※5としてそのままPrediction Oneへ投入していたので、特に修正はしていないです。
脳波データの活用をより身近に広めていきたい
最後に今後の展望について教えてください。
利用されている方は医療分野のお客様がほとんどになります。一般的な企業の方やこれから脳波の研究をしようとされている方にはまだまだ活用ハードルが高い状況です。そのためPrediction Oneのようなツールを使うことでお客様により身近に分析に取り組んでもらい活用の幅を広げていきたいと考えます。
※1:AUC…「Area Under the Curve」の略称で二値分類の評価指標の一つ。一般的に100%に近いほど精度が高いとされる。
※2:AutoML…「Automated Machine Learning」の略称で機械学習モデルの設計や構築のプロセスを自動化させる技術を指す。
※3:Accuracy…二値分類や多値分類で用いられる評価指標の一つで、学習モデルが予測した正解数をデータ数で割った値を指す。100%に近いほど良いとされる。
※4:Recall…二値分類や多値分類で用いられる評価指標の一つ。実際の正解数を学習モデルが予測した正解数で割った値を指す。
※5:特徴量…モデルを作成する際に、学習させるデータセットの特徴を定量的に表現したデータを指す。
