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株式会社ジーケーパートナーズ
株式会社ジーケーパートナーズ
業界
その他
職種
その他
予測テーマ
その他
従業員規模
1~50名

企業再生の現場とAI
~ChatGPTと予測分析AIを駆使した「再生のプロ」の裏側~

株式会社ジーケーパートナーズ 会長 桃山学院大学 教員 津田様

▲株式会社ジーケーパートナーズ 会長
桃山学院大学 教員 津田様

株式会社ジーケーパートナーズ
株式会社ジーケーパートナーズ
業界
その他
職種
その他
予測テーマ
その他
従業員規模
1~50名
  • 課題
    ■ 学習データの調達
  • ポイント
    ■ 自社の保有情報の活用と対象企業の代表の性格を数値化し説明変数へ追加
  • 効果
    ■ AUC91%のモデルを構築
    ■ 再生判断業務の効率化

企業再生のコンサルティングを中心にM&Aの仲介業務や事業継承支援を行っている株式会社ジーケーパートナーズ。
今回は同社会長の津田様にお話しを伺いました。

津田様のご経歴と貴社の業務内容について教えてください。

私自身はみずほ銀行出身で、政府系機関に転職して企業再生に従事していました。今から21年前に独立し、企業再生専門のコンサルティング会社の経営をスタートさせました。公的機関や金融機関から紹介を受けた企業のコンサルティングや経営計画策定が本業です。会社のメンバーは、公認会計士や中小企業診断士あるいは銀行のOBが中心です。また最近はM&Aの仲介や、廃業支援も増えてきました。

Prediction Oneを活用してどのような取り組みを行っていますか?

大きく分けて4つの取り組みを行っています。
1つ目は対象企業が再生できるかどうかの可否判断に活用しています。我々は再生のプロなので、事前に再生できるかどうかの判断を行い、再生できると判断した企業だけを対象としてサポートをします。その後、膨大な時間を使って再生計画の策定の作業に入りますが、事前の再生可否判断の精度を少しでも高めることができれば、それをもとにして関係者の理解を得られやすくなります。

2つ目は、Prediction Oneでは「再生できる」ということを前提にどのような支援策が必要かを調査するという使い方です。例えば返済猶予などであれば銀行の承諾を得られても、債権放棄のような銀行の負担が大きい支援策が必要な場合に、後になってから彼らの理解が得られないようなことがあります。そういったケースでは事前に厳しい条件を提示できれば、作業に取り掛かる前に銀行の同意を得ることは可能となります。

3つ目は作業時間の算出による報酬額の決定です。コンサルティング報酬は、作業時間によって決定され受け取りますが、基本的には作業前に金額を決めます。企業規模や作業の種類で事前に作業量が予測できれば、先方と交渉し、報酬と作業量の大きなズレを避けることができます。

4つ目は、私自身の研究における利用です。私は経営者ではありますが大学で研究室を持つ教員でもあります。そのため週の半分は大学で講義をしています。研究テーマは実務と同様に企業再生ですが、企業再生にとどまらずAIを活用して中小企業の経営効率を図れないかを研究しています。また大学教員として「大学生が何年生で何回欠席すれば、退学する可能性が高いか」など身近な問題にもAIを活用できないかと考えています。

株式会社ジーケーパートナーズ 会長 桃山学院大学 教員 津田様

今回は1つ目の「対象企業が再生できるかどうかの判断可否」について詳しくお話しさせていただければと思います。

支援のイメージ

▲支援のイメージ

「対象企業が再生できるかどうかの判断可否」をテーマとされているとのことですが、どのような取り組みをされていますか?

先述したように再生可否の判断の精度を高め、それを数値として提示することで、銀行などの関係者から理解を得るためにPrediction Oneを利用しています。

Prediction Oneの二値分類では「再生できる」「再生できない」の結果を出すだけでなく、その確率はどのくらいなのかというところまで見ることができるため、その数値を各関係者に見せることでより理解を深めていただいています。

どのような説明変数を用いてモデルを構築していますか?

「売上高」「借入額」「純資産」「従業員数」などの変数を用いてモデルを構築しています。最初は13の説明変数を用いてモデルを作成していましたが、精度が高い説明変数の組み合わせを見つけるために数百回の試行錯誤を行いました。
過去の案件をベースに265社の全データを活用してモデルの精度はAUC 76%ほどです。

予測分析を行う上でどんな課題がありましたか?

学習データの調達が一番の課題でした。
企業の破綻予測モデルはアルトマンのZスコアなど、1960年代より数多く開発されています。株式投資をするにあたっては、対象企業が倒産されると困るわけですから、破綻を事前に予測することが大変重要です。したがって、これらのモデルは、上場企業の破綻を事前に予測するために開発されました。一方、私の顧客となりうる対象は中小企業です。また再生しようとしている企業なので、破綻ギリギリの状態にあるのです。仮に当社の対象企業を破綻予測モデルに入れて予測を行ってみると基本的に「破綻する」という結果が出ます。つまり、崖っぷちまで追い込まれた企業が「破綻する」か「復活する」かを見極めているので、極めてセンシティブな判断が必要です。
上場企業の破綻に関する情報は公開情報とされていますが、中小企業の情報は公開されていません。情報を保有しているのは銀行と金融調整を行っている公的機関で、どちらも民間企業である当社に情報を公開してはくれません。
そこで自社の保有情報を利用することにしました。これらの情報は金融機関に比較すると極めて少数になりますが、過去の案件情報をもとに265社の情報を活用しています。

また更なるモデル精度の改善を図るため、対象企業の代表の方の性格を数値化し説明変数に加えてみました。
やり方としてはChatGPTに社長の人柄を入力し経営者としての点数を1~5点で採点してもらい、出てきた点数を説明変数として加えました。例えば「職人気質で従業員に背中で語るタイプ」のような内容です。お会いしたことのない企業の代表の方は3点と設定し改めて分析を行ったところ、AUC:91%のモデルができました。非常に驚きの結果です。結果の分析を行ったところ、4点を与えられた企業のほとんどは「再生できる」と判断され、逆に2点を与えられた企業の多数は「再生できない」と判断されました。私の肌感覚とも合っており、興味深い結果となりました。

支援のイメージ

今後の展望を教えてください。

上記に記載したモデルの精度を高めるというより、冒頭でお話しした報酬金額の予測や大学生の退学予測など様々テーマでPrediction Oneを活用していければと考えています。
今回の企業再生の研究ではうまく結果を出せましたが、本来、AIを活用すべき場面で、まだまだ活用しきれていないことが多くあります。地道にモデルの構築、精度向上に取り組み結果を出せば目を向けてくれる方も増えるかと思いますので、AIの活用を進めていけたらと思っています。

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