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現場でのAI活用の促進を目的にPrediction One活用勉強会を実施

企業Profile

東急カード株式会社

設  立:1983年11月

従業員数:218名(2022年4月1日現在)

事業内容:クレジットカードの取扱い、金銭貸付・通信販売などに関する業務、広告、損害保険・生命保険などの斡旋並びに代理店業務、計算代行並びに集金代行業務、金融商品仲介業に関する業務

Prediction Oneは、操作が簡単で使い勝手の良いUIを強みの1つにしていますが、AIツールの操作や予測分析そのものに慣れていない場合、有効活用のための勘所をつかむのに苦労されるケースもあります。そういった企業様、担当部署の方々を対象に「Prediction One勉強会」を実施しています。
今回は、2020年からPrediction Oneを導入し、モデル作成に取り組まれてきた東急カード株式会社様へ勉強会を実施いたしました。基礎的な知識面の解説から実践時の個別アドバイスまで、当日の様子をレポートします。

「感覚的に使っていて、現場への根拠ある説明ができない…」
分析担当者が抱えていた課題

Prediction Oneは専門知識がなくても使いやすいという点で、2020年から導入

東急カード様では、データ分析における専門的な知識を有した人材が限られているため、担当社員の方が0ベースで勉強しながら分析業務を行われていました。Prediction Oneは専門知識がなくても使いやすいという点で、2020年から導入いただき、マーケティングや業務効率化の視点で様々なモデル作成、業務活用に取り組まれています。「操作が直感的で新規担当者でもすぐにモデル作成に取り組むことができます。」と担当者は語ります。

モデルをつくっても、現場で活用されていない

ただ、活用が成功しているケースもある一方、一部の施策では上手く活用されていないということもありました。特に「モデルを作成してから、現場で活用されていない。」ことをお悩みとしてご相談いただきました。「モデルの精度は悪くないものの、結果について現場担当者の納得感を得られず、実運用で活用してもらえないケースがあった。」と言います。

現場の納得感を得るため、分析担当者の予測分析に対する理解度向上を目指す

この課題を解消するために、東急カード様ではまず、分析担当者の予測分析に対する理解度向上が必須だと考えました。分析担当者がモデル評価を適正に行い、現場担当者へ説明できるようになることで、現場が納得し、モデル活用を進めることができます。そのためにPrediction Oneについて深く理解する機会を求めていました。

そこで今回の勉強会では、ソニーのデータサイエンティストが講師を務め、予測モデルの精度評価の見方や、今まで実施していなかった分析方法について解説しました。

受講したのは分析を担う同社DX推進部DX企画課の方々で、導入当時から関わってきた方や現在運用をメインに担当している方、セミナーは受講したが実際にはあまり触っていない方など、当初の理解度に濃淡はありましたが、チーム単位で実施されることで、共通言語も増えたようです。

勉強会のアジェンダ

  • 1.二値分類、多値分類のデモ&解説
  • 2.数値予測のデモ&解説
  • 3.時系列予測のデモ&解説
  • 4.モデルの詳細設定
  • 5.データ前処理・加工方法

今回の勉強会では、二値分類と時系列予測について重点的に説明し、精度や寄与度の詳細、評価指標の特徴と使い分け方などを、ケーススタディを通して理解を深めました。

勉強会レポート

二値分類の評価指標はどう使い分ける?

実際のPrediction Oneの画面を使ってデモを実施するにあたり、状況を仮定して話が進みます。今回は「コール施策の費用対効果を改善したい」というマーケティング部門におけるコール施策のコンバージョン率向上を目標とする事例が示されました。

この課題に対し、顧客情報と購入データを用いてモデルを作成していきます。データ読み込みの仕方から、変数の入れ方、関連度の見方などを実際の画面を使いながら説明しました。

デモを実施後「混同行列とは何か?」といった用語の説明から、マトリクスや「正解率(Accuracy)」「適合率(Precision)」「再現率(Recall)」「F値(F-measure)」の精度評価値の見方についてそれぞれ解説を行い、利用シーンに応じた使い分けをお伝えしました。

よく使う指標として「適合率(Precision)と再現率(Recall)の使い分け」についても、例えを使ってその違いを詳しく述べました。

「“イワシ漁”をイメージしてください。狙った獲物であるイワシを外れ少なく釣りあげたいときには、適合率(Precision)が有効です。一方で、一気に網で捕らえて、イワシが最大量になれば、他の魚が入っていても問題ないという考えのもと行うのであれば、再現率(Recall)が有効です。この2つの数値は、どちらかが増えるとどちらかが減ることになります」(弊社担当講師)

「絞り込み」なら適合率(Precision)か「見逃しをしない」なら再現率(Recall)

その他、予測確率の分布図、ROCカーブ、AUC、寄与度についても、その見方や「これらの値がどうなっていればモデル精度が良いのか」といった判断基準も改めてお伝えし、受講者からは適宜質問が投げかけられながら進行していきました。

入電数予測における数値予測と時系列予測の違いとは?

二値分類の解説後、多値分類、数値予測、時系列予測と順にデモを交えながら解説を行い、数値予測と時系列予測では、分析の使い分けや評価指標の選び方を説明しました。

事例に使われた「入電数予測」で「数値予測と時系列予測の違いは何か?」という質問については以下のように回答しました。

「時系列予測は季節性、周期性の特徴をとらえやすいため、年次や月次で決まった傾向がある場合、精度が上がりやすいと考えることができます」(弊社担当講師)

「見直すべき箇所が明らかになり、モデル改善や新モデル構築に役立てられそう」

時系列予測に必要な学習期間や、説明変数の例、精度を評価する基準値について説明後、モデルの詳細設定、データの前処理・加工へと進みました。

東急カード様では「感覚的なモデル作成に留まり、現場で活用されていない」という課題感から、分析担当者が予測手法とその結果を現場担当者に説明できるレベルまで理解を深めることが今回の目的でした。

その他にも、予測テーマのデータ量や説明変数の洗い出しが十分でなかったことなど、現場活用に至っていない原因も明らかになりました。最後に勉強会実施後、参加者の方から感想をいただきました。

勉強会の感想

モデル精度評価の見方や予測モデル作成時の留意点など、感覚的に進めていた部分が多くありましたが、今回の基礎的な学習を通じて予測精度について理解することができました。今回学んだ内容をもとに、より有用なモデルを作成し、施策活用を推進していきたいと思います。

東急カード株式会社 DX推進部 DX企画課

岩切

ユーザーマニュアルをもとにモデル作成をしていましたが、適切な変数の設定方法がわからず手探りで進めていました。勉強会を通じてモデルの評価方法を理解することで、現場担当者へ数値的な根拠を持って作成モデルの説明をすることができると感じています。

東急カード株式会社 DX推進部 DX企画課

庄子

Prediction Oneはシンプルな操作性と感覚的に取り組めることから、新規担当者も構えることなく活用できるツールだと感じています。導入から活用が途切れることなく続いており、一定の成果がありますが、より効果的に活用するためのモデル作成時の留意点や精度向上に課題がありました。今回の勉強会では予測分析の知識・スキルの整理に役立つとともに、基礎的な部分の振り返りになりました。今後の活用に活かしていきたいと思います。

東急カード株式会社 DX推進部 DX企画課

長谷川

まとめ

基礎的な部分からレクチャーを実施することで満足感が高い結果になった

東急カード様ではマーケティングや業務効率化で活用いただいている一方で、モデル作成の部分で、モデル精度は悪くないけれども現場担当者の納得感を得られずに施策で活用してもらうことができないといった課題がありました。

今回の勉強会を通して分析担当者がモデル評価を適正に行い、現場担当者へ説明をできることが目的となっており、基礎的な部分からレクチャーを実施することで満足感が高い結果になったと思います。東急カード様でPrediction Oneの活用を予定している施策に向けて、引き続きサポートを継続させていただきます。

ソニーでは、それぞれの企業の課題や理想像に即したAI活用・人材教育・PoC・現場運用を包括した支援を行っております。Prediction Oneの使い方を見出し、適切なPDCAサイクルの下で実践できるよう支援していくことを目指し、AI活用を推進するべく、支援してまいります。

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