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武庫川女子大学 経営学部にて教鞭をとりながら、同校のリカレント教育、さらにはKyotoビジネスデザインラボ合同会社にてIT顧問として企業のDXサポートに取り組んでいる宗平様にお話を伺いました。
私は経営学部にてAIやICTに関する講義を行っています。講義の中ではまず、AIはどのような仕組みで動いているのか、どういった学習パターンがあるかなど基礎の部分を解説し、後半では活用事例や実用する際のポイントを主に伝えています。経営学部はどちらかというと文系寄りの学部のため、プログラミング言語や詳細なデータサイエンスの手法を覚えてもらうことよりも「AIをビジネスでどのように使っていくか、AIを使いこなす人材になるためにはどんなスキルが必要か」といった点に注力した講義作りを心掛けています。
一方で、昨年、今年と同校の教職員向けにAI・DXに関する研修を実施しました。本年のAI研修については生成AIや予測AIもアジェンダに追加し、実践的な内容も含めました。と言うのも昨今、生成AIの活用が広まり生徒がレポートを書く際にすべて生成AIに任せてしまうなどといったことが起きているためです。教職員はAIの仕組みや使い方を学ぶだけでなく、"生徒とAIの向き合い方"についても議論し理解を深めていく必要があります。しっかりとした指針を持って指導するには現段階でのAI、今後のAIがどんなことをできるようになるのかを教員自身が知ることが重要だという思いのもと、本年の研修を行いました。
▲宗平様
これまでPrediction Oneを活用した講義を行い、30名ほどの学生に受講いただきました。教職員やリカレントの生徒も含めると約60名がPrediction Oneを利用しました。学生は1年生のうちにデータ分析の基礎部分を学んでいたため、講義内では重回帰分析を用いた予測とPrediction Oneで予測した内容の比較を行ってもらい、どのような差異があるのかを分析するといったことにもトライしました。これまで自分たちが学んだものとAIが出した結果の違いを自分の目で確かめてもらうことで、それぞれどのような特徴があるのかを理解し、場面にあった最適な手法を選ぶ練習を行っていただきました。
また、AIを学習教材として提供する立場の私の目線では、製品を選定するにあたり2つの基準がありました。
1つ目は従量課金制ではないこと、2つ目はAI自体の操作ではなくデータ分析に集中できるUIであることの2点です。
学生に多くの学びを得ていただきたいと思いつつも、変動的な費用であると学校側の管理が難しくなってしまうのに加え、利用する生徒とそうでない生徒に不平等感が出てしまう恐れがありました。Prediction Oneは定額での利用が可能なため、その点非常に助かりました。
また、データにしっかりと向き合ってほしいと考えていたため、極力「データの投入方法がわからない」、「結果の見方がわからない」といった操作に対しての疑問が上がらないような製品を選びたいと考えていました。実際に学生からはそのような質問がほとんど上がらず、初めて予測系AIを学ぶ学生、もちろん社会人にもぜひおすすめしたいツールです。
▲武庫川女子大学にて提供している数理・データサイエンス・AI教育プログラムを通して身に着けられる力
リカレントの受講生はPrediction Oneを使ったデータ分析に関する講義、生成AIに関する講義を行いました。武庫川女子大の学生にはPrediction Oneの中にあるサンプルデータを使って講義を行いましたが、リカレントの受講生には自身の業務内容に近い予測テーマを自由に考えていただきました。また、それに沿った説明変数を予測の実行が可能な形に成形し、実際に予測を回してもらうといったことを行いました。リカレントの受講生は日頃は社会人として働く方々ですので、「何を目的に予測を行いたいか」といったことを意識してもらえるようにしています。また説明変数を用意いただく際は、日頃それぞれの現場で働いているからこそ知っている「現場の勘を反映したデータ」を準備するように伝えています。むやみやたらにデータを収集し成形するのではなく、「このデータはこの予測テーマに関係がありそうだ」といった現場の知識に基づいたデータ収集が重要です。
また、リカレントの受講生のみなさんからも「操作は非常に簡単」「資料生成機能が便利」というお声をいただいています。操作ではなくデータに集中できるAIとして非常に使い勝手がいいと評判です。
様々なテーマで予測分析を行っていただきましたが、その中からいくつかご紹介させていただきます。
・介護認定に関する予測モデル
日々の介護データをもとに対象の介護レベルがどう変化するのかを予測するといった内容のモデルを構築された方がいらっしゃいました。普段はケアマネージャーとして働く方で、いつも見てらっしゃるデータを使ってモデルを構築されていました。
・塾の生徒に個別面接が必要かどうかといった予測モデル
これまでの成績や出席回数などを説明変数として、対象の生徒に個別面談が必要か否かといったモデルを普段、塾経営をされている方が構築されていました。
・最終試験に合格するかどうかといった予測モデル
これまでの試験や小テストの点数を説明変数として、ある対象の最終試験に合格するかどうかを予測するモデルを構築された方もいらっしゃいました。予測精度は80%ほど出ており、実際の業務に活用できるレベルではないかと想定しています。
生成AIや予測AIを活用して様々な業務の効率化をされている方は多いかと思いますが、AIの活用はDXの推進・浸透の1つの手段だと考えています。DXは業務効率化に加えて“新しい価値を生み出す”ことを最終目的として存在しているはずです。人の業務を効率化させることももちろん重要ですが、チームや会社単位でデータを活用し、新しい価値を生み出すことにも目を向けていってほしいなと思っています。
昨今、生成AIの著しい成長もありますので、「データ×生成AIの活用」が今後、企業が成長するにあたって必要なピースになると考えています。まずは、手元にあるデータをきちんと扱えるようになることがファーストステップになるのではないでしょうか。
「AIを活用しさらに思考を深めるにはどうしたらいいか」という観点を常に念頭に置きながら教育を受ける・提供することが重要だと考えます。
生成AIの場合、利用する側の問いかけの内容によって返答の質に大きな差が出ます。視点を変えながら思考を深めるサポートを行うのが生成AIの役目で、得られた情報をもとに質の高いアウトプットを生み出すのが人間の役目だと考えています。学生のうちにどんな場面でどのように生成AIを活用できるかといった利用シーンや事例を多く学ぶことで、自身がいざ選択するとなった際の選択肢を増やせるような教育を提供できればと思っています。
Prediction Oneも同様に、何を予測したいのかを定義しそれに必要な説明変数は何かを自身の経験や現場の知見をもとに洗い出すことを目標に活用を進めるのがいいのではないかと思います。計算・分析はすべてPrediction Oneが行ってくれるため、出力された予測結果をもとにどんなアクションを行うべきか?を考えることに集中できると思います。
AIを使うことが当たり前になった今、更なる思考の深化が求められているのではないでしょうか。